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新聞からの木の豆情報

京都銀行柏原頭取の談話

・日本経済新聞 2007/8/20
日本の森林の荒廃について、京都銀行頭取柏原氏が「対策の近道として私が重視するのは林業の立て直しです。海外から安価な木材が流入し、日本の林業は産業として成り立たないとされ、森林は急速に荒廃しています。木材自給率も大きく落ち込んでしまいました。しかし、自国の木材を伐採し、輸出することへの抵抗が今後世界各地で強まる可能性が高い。そうなれば大変です。そのためにも日本は林業の立て直しを急ぎ、木材の自給体制を構築するべきです。林業が有望産業になれば経営資源である森林の大切さが増し、保全や整備の動きも加速するでしょう」「海外での輸出規制が強まり、木材価格が上昇すれば日本の林業も価格競争力を持てます。その時点で再生のカギを握るのは何といっても作業工程のさらなる機械化と、搬走路の整備です。他の産業と同様に生産性を高め、収益の一部を伐採後の植林に回す循環を生みだしていかねばなりません」「もっとも、市場原理だけに任せ、無計画に植林や林道の整備をしたら様々な問題が派生します。一方、国に頼り切るのも危険です。木材の採りすぎが原因と見られる洪水の多発に悩んだ江戸幕府は、場当たり的に日本人が好きなマツをたくさん植えました。その結果、松食い虫が発生し、松枯れが広がりました。過去の失敗を繰り返さぬよう、官民が協力して森林の将来像を描き、植林に関する公的なルールを作る必要があります」「森林にゾーンを設け、乱開発を防ぐのです。動物が生活できるよう山奥にはドングリの木などを植え、次に林業の柱となるスギなどの人工林、その周りにシイやカシなど自然植生の木を植え、山のバランスを保ちます。森林には二酸化炭素を吸収する力や保水力があり、山崩れを防ぎます。里に住む人間は豊かな水を確保でき、海の水、海に住む生物も豊かになる好循環が生まれるでしょう」「神社やお寺の周辺にはほとんど森があり、その周囲に足を運ぶと何となく敬虔な気持ちになる人は多いでしょう。森林には人間の心を落ち着かせる力もあると思います。森林と林業の再生は日本人の精神の再生にもつながると期待しています」と語る。

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