お化けクヌギの減少
・毎日新聞 2007/8/1
オオクワガタは日本ノクワガタの中で最も人気のある種類である。大きなものは7センチ以上ある。現在、全国的に個体数が減少、国内屈指の産地だった山梨県でも同じである。環境省は準絶滅危惧種 と指定している。減少原因に棲家である「お化けクヌギ」の生える雑木林の放置といわれている。かつて農家ではクヌギの枝を刈って水田に敷詰め習慣があり、これは「刈敷」といい、水田の栄養補給と水はけをよくすることが目的で行われていた。くぬぎは枝を刈ることによって上に伸びず、背の低いまま握りこぶしを突き上げた人の腕のような異様な形が出来、これを「お化けクヌギ」という。枝が根元から折れやすく洞ができやすく、ここにオオクワガタが住み、繁殖してきた。しかし、1970年代以降化学肥料の普及と苗代作りの変化によって、「刈敷」をする農家がなくなり、お化けクヌギは放置された状態となり、クワガタが棲めなくなってしまった。また、木の枝を切って炭を焼くこともなくなり森は茂って暗くなり、クワガタにとっては棲みにくい環境となっている。