蘇った四十島の松
・産経新聞 2007/7/1
松山市高浜町から150メートル沖合いに盆石のような小島「四十島」別名「ターナー島」がある。ここにある松は昭和40年ごろからマツクイムシなどの被害で枯れ始め、52年末には全滅となった。復活は無理とされてきたが、当時高浜小学校の教諭であった北岡氏は、写真でみた松の美しさに魅せられ何とか再生できないかと思い、53年2月、20本の松の苗を四十島に移植。1年後3本だけ自生、あとは枯れたが再生への確信をもつことになる。様々な苦労の末、平成2年には50本の松が青々と茂るようにまでなった。しかし、平成3年の台風の塩害で約半数、6年の大渇水で12本が枯死した。あきらめず再度移植に取り組み、松の根が岩の本体に食い込んで、松の根から有機酸を出し岩を溶かして食い込み、酵素の働きで岩のミネラルを養分としていたことに気付いた。根の小さい幼木を岩の割れ目に移植して生着させる手法を確立した。また、島の岩は風雨で少しずつ削られていき、松が枯れれば岩に張った根がなくなって崩れるため、今後は現在23本ある松を10本程度減らす予定とのことである。