水田の屋敷林
・日本経済新聞 2007/6/13
富山県の砺波(となみ)平野は、庄川と小矢部川が作り上げた扇状地が発達している平野である。その平野に、日本の稲作農村を代表する風景ともいえる散居村が広がる。散居村は、スギを中心とした屋敷林に囲まれた民家が一面の水田の中に点在しているところ。今も尚、砺波市・南砺市・小矢部市にまたがり、8000を越す民家が建っている。散居村の展望スポットは、幾つかあり、中でも、閑乗寺公園の展望台は、風景を遮る木々が少なく平野の広さ・風景の美しさを実感できる。また、砺波市内にある散居村ミュージアムでは古民家の内部が無料で公開されている。そのほか館内には、季節ごとの農村風景を上空から撮影した写真も展示されている。市は、今後、散居村の風景を「重要文化財」に指定しようと調査を進めている。だが、農業の担い手の減少や空き家の増加問題があり、景観保護はそう容易ではなさそうである。