温暖化と無縁 木質ペレット
・毎日新聞 2005/1/31
北上山地の南端にある住田町は面積の9割を森林であるが、安い海外の木材との競争で、林業はきびしい経営が続いている。そんな状況を町内の製材所で出たおがくずを棒状に固めた木質ペレットが打開してくれるのではという期待がこめられている。きっかけとなったのは、2000年7月の豪雨災害であり、山林の間伐などが豪雨で一気に流れ被害額6億円を出した。このとき、町長は山を守る大切さを痛感したという。そこで考案されたのが、産業廃棄物として燃やしていたおがくずをペレットにして販売すれば、コスト削減につながり、林業も振興できるというわけだ。約8000万円で製造ラインを設置、年間500万円のコスト削減が見込めるという。多田町長は「木を売った収入で植林し、山を育てるというサイクルを確立したい。ペレット代は灯油よりやや高いが、燃焼で排出された二酸化炭素は光合成で木材にもどるため、温暖化対策にも有効だ」と期待をよせている。全国に17箇所ペレット製造工場では、間伐、倒木などで毎年約390万トンの木材をどうやって効率よく使うかが今後の課題であるが、山村を中心に利用の動きが広がっている。