クスノキ
・日本経済
新聞 2007/5/19
春の花もすっかり終わり、風がどこからとなく木々からの芳香や臭気を運んでくる。青臭い異臭はシイノキの花だろう。これとは対照的に甘い芳香を放つのがクスノキの花で、5月の連休が終わる頃に樹冠いっぱいに咲く。その花は小さく色も白い花弁以外は淡い黄緑色で目立たない。クスノキの分布は広く、台湾から中国大陸の南東部までおよび、西日本では個体数も多い。用途も様々あり、6世紀には樟脳の記録がある虫食いに強い材は建築材の他、仏像彫刻や器具材にも利用され、海に立つ厳島神社の鳥居にも使われている。