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新聞からの木の豆情報

「緑のダム」生まれるか

・朝日新聞  2005/1/30
約250年前からある第十堰と呼ばれる堰を撤去し、変わりにコンクリートの稼動堰を作る。そんな国土交通省の計画に反対する住民たちが、NPO法人「吉野川みんなの会」をつくった。第十堰は補修をすれば十分な治水効果があり、老朽化を理由に取り壊す必要は無い。また「緑のダム」が期待されるが、吉野川流域は7割が森林でその6割以上が人工林だ。大半は旱魃などの手入れが不十分の状態。中根周歩広島大学院教授は現地調査やコンピューターによる数値計算をし、①適切に間伐した人工林は、荒れた人工林の2倍の浸透能がある②流域の人工林を適切に処理すると、大洪水の時でもピーク流量は2~3割減るという結果を出した。これは「これまで森林と河川は別々に研究されたが、両者を結びつけるパイオニア的な研究だ」と評価された。 対して国交省は否定的な考えで、貯水能も一定を超すると飽和状態になる。間伐によって洪水の時の川への流出量に、はっきりと差が出るというデータは無し。だから、「緑のダム」で代替することは非現実的だという立場を取る。01年に日本学術会議が森林について「中小の洪水では洪水緩和機能があるが、大洪水では顕著な効果は期待できない」とする答申をしており、これも根拠だとする。民間のシンクタンクの討論会で「住民がつくった代替案をたたき台に住民参加の川作りが出来ないか」と求められたが、「学会に報告しきちんと評価を受けて定説とならないと使いにくい」と国交省は否定的だった。この膠着状態を打破しようと 徳島県知事が「まずは稼動堰以外のあらゆる方法から検討を」と国交省に要望した。住民は森林の手入れだけでダムは本当に必要なくなるか、国交省は森林も含めた総合治水の重要性を考えてほしい。地域の歴史や人間の心の問題も大切に考えたいものだ。

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