千本松原
・産経新聞 2007/3/25
最近出会うことは少ないが、松がたくさん植えられている所を松原という。松原は、自然に出来上がったと思われがちだが、松原は、景観のために植えたわけではなく、防風・防砂などの自然と戦うために先人達が植えたものだ。しかし、先人達の苦労に反し、大正時代、静岡県では、松原を伐採して売り財政の足しにしようという伐採計画がもちあがった。伐採の対象地になったのは沼津市の千本松原という景勝地である。この伐採に猛反対し、反対運動を起こした人物がいる。歌人の若山牧水(1885~1928)である。牧水は、旅の途中に、千本松原に魅せられ、大正2年(1920)に移住。同14年には松原のそばに新居を構えるまで、この地を愛した歌人である。同15年には牧水は伐採に反対するために新聞に文も送った。そして、牧水の反対運動のおかげで、この地の松原は伐採さずに守られた。今千本松原は、地元の人々も手入れしている。今後、子供達も清掃運動に加わる予定である。