二条大路木簡
・朝日新聞 2007/1/25
1989年に奈良市で出土した「二条大和木簡」が17年を経て正式報告第1弾にこぎつけた。奈良文化財研究所がまとめた「平城京木簡三 二条大和木簡一」には出土した約7万4千点のうち約1300点を収録されている。二条大和木簡は長屋王邸北側の溝でみつかった。聖武天皇の母藤原宮子の家政機関だった「中宮職」や、その一族で政敵の長屋王を自殺に追い込んだ藤原の4兄弟の末弟、麻呂が長官を努めた兵部省に関するものが多く、当時の政争や権力者の生活実像に迫るものとして高く評価されてきた。しかし、出土数が膨大なため整理が進まず、ようやく全体の2%について報告書が出来上がった段階だ。今まで別物だと思われていた木簡が国内最高の山水画として有名になった木簡の一部だということも分かった。こうした合体木簡が他にも数点盛り込まれている。また、この報告書では、従来写真をスキャナーで読み込む方法からネガをスキャンする方法に変更され、木目や墨痕が鮮明なっている。同研究所は今後数年かけて、さらに数冊の報告書を刊行するとしている。