古都の松
・朝日経新
聞2007/1/6
京都の美しい枝ぶりの良い松が枯れはじめている。京都府の嵐山や金閣寺では、マツノマダラカミキリムシが運んでくる線虫の一種のマツノザイセンチュウの影響で、40年前から松枯れが広がっている。嵐山では、樹齢100年以上の大木は、中腹に1本、尾根に6本が残るだけになっている。世界遺産の金閣寺では、境内の赤松が毎年枯れていき、切り株だけが無残に残っている。林野庁や京都府は、京都産の枝ぶりの良い松を取り戻すために、松枯れに強い苗木作りに乗り出すことを決めた。枯れない赤松の育成として、松枯れが激しい中で、生き残った強い松の枝を苗木に接木して、数年間育てた後に、線虫を注入する。それで枯れないか試験し、その試験で良い結果がでればさらに育てて種をとり、松枯れに強い赤松を増やしていく。岡山では、松枯れに強い赤松をすでに作っており、、嵐山国有林の一部に植えられているが、枝ぶりが杉に見える等の特徴があるため京都の景観にはそぐわない。松の育成に通じた寺院関係者らの意見も聴き、強くて形の良い松を作るため研究している。その他にも、京都市内の一部の小学校に岡山産の強い赤松の種を配り、2年程度自宅の鉢で育てた後に、市内の国有林
に植樹する。京都産の強く枝振りの良い松ができるまでの間、松枯れの被害を防ぐために市民も協力している。林野庁、京都府、市民一体となり古都の松風景の復活を目指す。