広がるバイオマス
・日本経済新
聞2006/12/1
日本政府は地球温暖化ガスの排出量削減の有力な手段の一つとして「バイオマス・ニッポン総合戦略」を策定し、各地の動きを後押ししている。バイオマスとは家畜排せつ物や木くずなど動植物から生まれた再生可能な有機性資源のことで、これらを発電用燃料や堆肥などに利用し、廃棄・処理コストの削減や環境保全につなげる狙いを持っている。兵庫県多可町は2007年春に針葉樹の間伐材をチップ化し、ボイラー燃料にするプラントを本格的に稼動させる。間伐材の年間処理量は640トンで製品は町立の青年の家や温水プールに向け供給、森林組合と組んで間伐材の有効活用と町営施設の燃料費削減を狙う。大阪府森林組合(大阪市)は昨年10月、間伐材や廃材を砕いて発電用燃料などに加工する南河内樹木リサイクルセンターを稼動、年間処理能力は270トンで民間の自家発電用燃料や合板の原料などに供給。再利用できずに放置されることが多かった間伐材の処理を促し、森林整備につながることを目的としている。農林水産省近畿農政局は「間伐材の利用は全国的に少なく、林業の長い歴史を持つ近畿の特長が生きた例。多様な農林資源が存在する近畿が先行例になる事業を増やしていきたい」とする。