世界一の木造船技術
・日刊木材新聞 2005/1/7
鋼製が主となった船舶の中で、木製を守り続けているのが海上自衛隊の掃海艦艇。米国の掃海艇も木造だが、FRPで補強してある。純粋な木製掃海艇を製造できるのは日本だけとなった。掃海艇は海に仕掛けられた機雷を除去する艦艇。機雷は船体に触れて爆発するものや、音・磁気を感知するものとあるため、木製にして音や磁気を抑えている。使用するのは米松のピーラー。船体の建造に釘は使わず板を重ねるように作られている。木材ならではの遮音性もあり木製が採用されている。最新の掃海艇「やえやま」型は排水量1000tと世界最大級の木造艦。これだけのものを作る技術は日本でも減り、現在ではユニバーサル造船1社のみ。全国の造船所に「木工さん」と呼ばれる技術者がいて、修理等に当たっている。機雷除去作業は大戦後約60年経った現在でも継続している。昭和30~40年代には掃海作業中に70余人が殉職しており命がけの作業であることには変わりない。そのために安全性をより高めるのが木造船。揺れは激しくても鋼鉄の船より疲れないと人に優しい船でもある。