奈良時代に隆盛を誇りながら衰退し、全容が謎に包まれている奈良市の西大寺食堂院跡で見つかった約2.3メートル四方の井戸から寺での米、酒、野菜の出し入れなどを記した平安時代の木簡約60点が出土したと奈良文化財研究所が発表。禁制であるはずの酒をたしなむなど、古代寺院の僧侶の豊かな食生活がわかる。9世紀以降は衰退したとみられた西大寺が、10世紀末も健在だったことを示す貴重な資料である。また井戸跡は、食堂院のふたつの建物跡に挟まれた場所であり、枠内側の1辺が2.3メートルの正方形で、材はヒノキ板の年輪年代測定などの結果、奈良時代後期の寺の造営当初に掘られた見られる。
