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新聞からの木の豆情報

泉州だんじりの巨木信仰

・産経新聞  2006/9/9
泉州のだんじり祭りは300年の歴史を誇るといわれ、その系譜や祭りのスタイルは地域により個性がある。だんじりの魅力とともにそのような違いを考えてみようと泉州で初のフォーラム「泉州とだんじり」が開催された。今年1月から3月にかけての計6回で、岸和田だんじり会館初代館長 松山勉さん、『岸和田だんじり祭だんじり若頭日記』の著者 江弘毅さん、だんじり研究家 泉田祐志さん、地車(だんじり)大工 大下孝治さん、地車彫刻師 木下賢治さん、木彫刻研究家 花内友樹さん、篠笛奏者 森田玲さんらだんじりに関わる各界の第一人者が出席した。各回の定員は180人であったが、計1800人を超える申し込みがあり抽選にやむなくするほどであった。だんじりのルーツはというと根拠も定説もないため、空想してみるしかないが、時代は遥かさかのぼり縄文時代、青山権の三内丸山遺跡で見つかった栗材6本は直径約1メートルもあり、切り出した場所から大勢の人によって運び出されたと考えられる。また、大阪府和泉市と泉大津市にまたがる弥生時代の環濠集落・地上曽根遺跡の大型堀立柱建物の柱(直径60センチ)もあり、この時代伐採した樹木を目的地まで大勢で運ぶことが一つの儀式ではないかと思う。長野県諏訪大社の「御柱まつり」も巨木を切り出して運ぶ神事である。大阪府藤井寺市の三ツ塚古墳の出土の修羅は古墳築造のため巨石を運ぶ運搬具で、駿府城築城を描いた「築城屏風図」では修羅の下にコロを置き、てこを使いながら築城に用いる巨石を運んでいる図画ある。旗や団扇、ホラ貝、飾りの付いた矛、団扇太鼓をたたく人など6人が石のうえにのり、引き手に勢子を指揮している。これなどはだんじりの原型ではないかと思う。また、だんじりは単なる祭りではなく文化の総合体、「だんじりは総合文化」といえると思う。透かし彫りをはじめ、日本建築の粋が凝縮されいて日本の伝統工芸につながる要素が随所に秘められている。さらに祭りを経営するピラミッド型の組織、人々をつなぐ錬雷管などを考えるとそう思える。学校は休校、仕事も休んで祭りに参加する人々。市民にこれほどまでに融けこんだ祭りはない。しかもだんじりは泉州以外にも広く全国に分布し、定着している。「だんじり文化」こそ、古代の巨木信仰が時代の変遷を経て、庶民の祭りに昇華した日本の誇るべき文化遺産だとおもう。

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