檜皮不足で工期延長
・産経新聞 2006/8/16
岡山市吉備津にある、桃太郎のモデルといわれる吉備津彦命をまつる国宝の吉備津神社本殿・拝殿で修復工事が半世紀ぶりに行われている。屋根を葺く檜皮の耐用年数は20~30年だが、山林の荒廃などで慢性的に檜皮が不足しており、また通常の神社仏閣で使用される檜皮が長さ2尺5寸(約0.75メートル)に対し、吉備津神社では3尺(約0.9メートル)と通常より大きな檜皮が使用されている事から、約980平方メートルもの屋根を覆う檜皮を確保する見通しが立たなかった。そのため昭和31年以来修復は行われておらず、平成16年度よりようやく作業が始まった。総事業費は国と県、岡山市が補助し、約5億8000万円である。試算では、すべての屋根を覆うには約1万5000本もの檜から皮をはぐ必要があるという。当初、檜皮は地元の木でという神社の意向があり県北部の山林で集めようと試みたが、樹齢80年以上の檜が少なく北陸や丹波地方まで業者が出かけて集めているのが現状である。現在、工事は全体の4割程度まで進んでいるが、檜皮のストックはほぼ使い果たした状態で、また、檜が傷むからと皮をはぐことに二の足を踏む山林所有者も多く、工期は19年度までの予定だがこのままでは、工期延長を国に訴える必要が出てくる状態である。