私有山林ボランティア
・日本経済新聞 2006/8/5
近畿の自治体間で地主と協定を結び、放置されている私有林を住民が自由に散策できる場として整備する動きが広がっている。滋賀県では今秋から山林地主と協定を結んだうえで、県内の市町と共同で私有林を間伐などにより再生する事業を始める。必要額は1ヘクタールあたり60万円程度とみており、年度内に長浜市など湖東地区を中心に20件弱の協定を結び180ヘクタールを整備する予定である。地主側は、5年間は山を開発せず保全する義務を負い、一般の人の自由な立ち入りを認めなくてはならない。独立行政法人、森林総合研究所関西支所の田中亘さんは、見知らぬ人が自分の山に立ち入ることに抵抗を感じる地主も少なくない事から、固定資産税の減免など地主の利点が大きくなるよう工夫をすれば、里山警備に弾みがつくのではないかと話す。2006年度から京都府では、山林地主と府認定のボランティア団体が協定を結び、私有林を整備する制度を始めた。代表的な松中心の雑木林の場合、整備費用は1ヘクタールあたり20万円程度とみており、50-70ヘクタール単位の重点地区を10カ所程度府が定めた上で、主体となるボランティア団体を各地で募集する。兵庫県では10年間の協定を地主と結び、10年度までの5年間に毎年200ヘクタールずつ整備する計画である。案内板や遊歩道などの設置・整備費用は1ヘクタールあたり200万程度で、今年度は西宮市や篠山市などで協定を結ぶ。また、自然と触れ合いたいとの声が多いことから、炭焼き窯や野鳥観察小屋などを設置する予定の山林もある。兵庫県内には現在約7000人の整備に協力する森林ボランティアがおり、毎年500人のペースで増えており、定年退職を控えた団塊世代などの関心が高い。