ロシアの森林状況
・読売新聞 2006/7/25
ロシア・東シベリアのイルクーツク州カタンガ区、トクマ村では、2001年から突然始まり毎春やってくる洪水に悩まされている。村の付近を流れるネパ川の上流で伐採が行われ樹木がなくなったため、春になると一度に雪が解け、水位が急上昇して水が溢れ出すのである。この洪水で、小麦や砂糖、豚、鶏、子牛も沈没してしまった、またリスやクロテンが少なくなったと村人は嘆く。4年前、前村長のニコライ・ゴルバディエフさんはプーチン大統領に、先住民の同意なしの森林伐採中止を訴えた手紙を書いた。しかし州当局が現場に行き調べるとの返事はあったが、結局誰も来なかった。村の南方に、大手伐採業者のヤンタリレス社とイギルマ総合林業の伐採地がある。村人はその許可地域をはみ出して違法な伐採が行われていると主張する。川が凍り重機やトラックが森林地帯に入れる冬は伐採シーズンである。今年は、新たな伐採が村から32キロ離れたところで行われた。日本商社の関連会社であるイギルマ総合林業は「洪水は地球温暖化の影響かもしれない。トクマ村にはトラック提供や食料の支援などをしている。また近郊での伐採は営林署の許可を得て適切に行っている」と話す。熱帯雨林の減少した1990年代から、世界の4分の1を占めるロシアの森林は世界の木材供給地となった。違法伐採を懸念する国際的な声に押され、ロシア政府が昨年より航空機と人工衛星を使った違法伐採衛星モニタリング調査を行い、この大手2社によるカタンガ区での違法伐採が判明した。初回の調査では、約5300万ヘクタールを対象とし、違法伐採された木材は計123万立方メートル、罰金総額は日本円にして約203億円という結果がでた。しかし、天然資源省のミハイル・ギリヤエフ森林局長代理は、現行法制度では、地上での確認調査なしには違法伐採と確定できないと話す。先月、地上確認調査を急ぐように、地方の行政当局に対し通達を出した。また空からの調査だけで罰金を科せられるように法改正する意向を明かした。