漁民の森づくり
・毎日新聞 2006/7/24
森林面積が8割近くを占める島根県では、日本海に面した自治体の各漁協の組合員らによる山での植樹活動や、下草刈などの森林保全活動が広まっている。これは2001年からスタートした「漁民の森づくり活動推進事業」によるものである。島根県の中央部に位置する大田市では、市が所有する山林(通称・源山)で年1回、島根市森林組合、県・市関係者、漁師やその家族が山に集まり、広葉樹の苗を植える植樹活動を始めた。昨年12月の活動では約130人が参加し、3000平方メートルの山の斜面にヤマザクラやシラカシなど7種類の苗を340本植樹した。この「漁民の森づくり活動推進事業」は2001年から5ヵ年計画で水産省が実施した。海の魚や貝が豊かに育つのにも、海の生態系を維持するのにも必要なプランクトンの生育に、森林から川に流れ、海に注がれる水が欠かせないという考えで、全国各地で活動が展開されている。この事業は1989年宮城県唐桑町、現気仙沼市のカキ・ホタテ養殖業の畠山重篤さんが仲間と共に結成した「牡蠣の森を慕う会」による、漁業関係者による広葉樹の植林活動「森は海の恋人運動」がルーツである。畠山さんは、山に何本木を植えたからいいではなく、人間の心の問題だとこの活動を語る。