木蔭プログラム
・産経新聞 2006/7/13
緑が多いことで知られる、米・カルフォルニア州の州都、サクラメントでは、通りを歩くとカエデなどの落葉樹が木陰をつくっている。サクラメント電力公社(SUMD)は1989年にトラブルが続いた原子力発電所の存廃の是非を問う住民投票の決定を受け、原発を閉鎖した。これにより自社によるエネルギー供給能力の半分を失ったが、電力を外部から契約購入し、当面の配電に支障を来たすことはない。しかし購入電力は割高なこともあり、電源を新規に確保せざるおえなくなった。そこで省エネは発電と同じだと考え、1990年から非営利法人のサクラメント樹木財団と協力し、10年間で100万本を植樹する「シェイド・ツリー(木陰)プログラム」に乗り出した。サクラメント樹木団体は素人でも成木に育てられるように植樹指導にもあたっている。これまでに13万人が参加して38万本が植樹され、05年一年間で公的機関の分も合せると880万キロワットを節電した。また真夏の電力需要ピーク時に電力供給が逼迫した時には、遠隔操作で特別割引契約者のエアコンを停止するプログラムも実施している。1984年より太陽光発電に取り組んでおり、設置している太陽光パネルの発電量は3900キロワットである。太陽光発電をはじめとする「グリーン・エネルギー」の利用者は3万2000人にのぼり、月々の電力料金に上乗せして支払う額に応じて供給するというプランもある。SMUDの総電力に占める再生可能エネルギーの比率は約12パーセントだが、11年には20パーセントまで引き上げる計画だ。カルフォルニア州では00年から翌年にかけて停電が頻発していたが、SUMDが電力を供給する地域では、比較的軽い被害で済んでいる。これは再生可能エネルギーへの電源多角化が進んでいたことや、自由市場から電力を調達する義務がなかった事が背景にあったという。