企業の森林保全
・日本経済新聞 2006/6/29
自治体では荒廃が進む森林の保全に企業の参加を促す動きが広がっている。大阪府では「アドプトフォレスト」制度をはじめた。府が企業と森林所有者の仲介役になり森林の「里親」となる企業を募る。シャープが岸和田の里山の2ヘクタールで森林保全を開始したのに続き、日本IBMも6月に高槻市の里山1ヘクタールで始めた。これら保全に取り組んだ企業には森林面積などに応じてCO2削減量を算定し、削減実績と認める。和歌山県は全国に先駆け2002年度から森林を保全する「企業の森」事業を始め、サントリーや大阪ガスなど20企業・団体が参加、面積は約102.2ヘクタールに及ぶ。自治体が森林保全を評価する理由に背景に放置林の増加問題がある。大阪府では森林面積約5万7千ヘクタールのうち、12%は手入れが行き届かず、荒廃が懸念されている。一方、和歌山県は県の77%約36万ヘクタールが森林でうち5万ヘクタールが荒廃林である。荒廃を招いた要因の一つは木材価格の低迷で林業が衰退したこと。担い手の高齢かも進み後継者不足も深刻である。内閣府の世論調査では企業の社会貢献度を感じる活動として森林活動が6割を締めている。東京農業大学宮林茂幸教授(森林政策)は「企業の森づくりの理解を深めるには、活動の成果や効果を分かりやすく評価する手法を充実させることが必要。信用度の高い評価基準を定めることが出来れば企業の新規参入を促すことができる」と話す。