五重塔なぜ倒れない
・朝日新聞 2004/12/12
地震や台風が多い日本で五重塔はなぜ倒れないのか。その謎に迫るため、五重塔の大型模型を使い震度6程度の揺れを加えて変形などを調べる実験が、防災科学技術研究所で行われる。使われるのは、大きさ5分の1の木製模型。約1300年間倒れていない奈良・法隆寺五重塔に代表される飛鳥様式で、屋根の上に伸びる長さ2mの相輪まで高さが6.7m、各層の屋根は2.6m角。防災科研の振動台に載せ、震度6相当の揺れを加える。模型は借り物で1基約5千万円と高価なため、倒壊せずに揺れの加速度や層のゆがみなどを測り、強い理由の解明に役立てる。これまでも小さな模型による実験や、実物に強震計をつけて大地震の発生を待つ観測などが行われた。地震で倒れない理由としては「柳に風」のように力を受け流す「柔構造説」などが唱えられてきた。実験を防災科研と共済するNPO「木の建築フォラム」の河合直人理事は「実験で耐震性が実証され、理由をめぐる諸説も整理されるだろう」