伝統産業・大阪の家具
・毎日新聞 2006/5/18
日本を代表する桐箪笥の製造工程は、丸太を買い、年輪を見て製材し、屋外で1年以上自然乾燥させ、長い時間を職人が加工を始めるまでにかける。これにより、長年使用しても狂いが少なく、新品同様に再生可能な高品質の製品ができる。また良質の桐箪笥は、乾燥すると隙間ができ、湿気を含むと膨張し、湿気から中の衣服を守る。火災の際には水を吸収し燃えにくくなり、外は焼けても中の貴重品を保護する。箪笥は大阪で生まれ、製造は江戸時代の1670年代には始まっており、泉州が一大産地である。また、国の伝統的工芸品に1989年に指定された。岸和田市で「田中家具製作所」を経営する田中稔さんは、桐は耐火性や防湿性に優れ、安い輸入品とは材質も技術も大きく違うと話す。日本人の住環境の変化や、着物を着なくなったことから、大型の箪笥は売れにくくなったが、テレビ台の開発や、小ぶりの製品など現代生活に合うものを製作しているという。現在、大阪泉州桐箪笥製造協同組合には10社が加盟しており、出荷する商品には組合の証紙を貼り、品質を保証している。また地元の小学校や高校で出前授業を行っている。