檜皮葺き
・産経新聞 2006/5/16
檜皮屋根は一度葺けば30年はもつといわれ、檜皮の層は8~10センチに及ぶ厚みである。近年、相次ぐ台風の襲来で、厳島神社の檜皮屋根は毎年のように修復が行われている。しかし、檜皮は樹齢80年以上の檜から採取され、この時期まで育った檜は建築木材としての需要が高く、檜皮用として用いられる事が少ないため、材料の檜皮不足に頭をかかえている。文化庁によると、国宝・重要文化財を合わせ、国内に残る檜皮葺き建造物は現在719棟あり、年間約1200平方メートルの檜皮が不足している。また、檜皮葺きの職人や、檜皮をはぐ職人「原皮師」も不足している。こうした中、林野庁では、厳島の樹齢100年以上の檜が植わる国有林を「世界文化遺産貢献の森林」に指定し、檜皮葺きの技術を後世に伝える取り組みとして、平成15年より3年間、原皮師の育成も兼ね檜皮を採取した。国宝級の建造物に使用する、上質の「黒
皮」になるには、まだ10年はかかるが、将来的には厳島の屋根にも使用されるに違いない。