冬は植物の厳しい師
・読売新聞 2004/12/4
昔、赤谷の森は、低木のような姿のブナの森が広がっていた。しかし、今は1本もなく、一面ササになっている。冬季多雪という日本海気候の影響を受け、最深積雪は数メートルに及ぶが急勾配なため、雪崩が多発し植物にとって必要不可欠な土壌を削り取ったからである。土壌は10センチ程度と浅く、養分が豊富な黒褐色の層が欠如している。だが、こういった場所でもササやミヤマナラ、マルバンマンサクなどの植物は懸命に生きている。冬は植物に厳しい試練をあたえ、植物はそれに耐えている。まるで師弟関係のようだ。