木材を有効活用
・日本経済新聞 2004/11/26
船岡正光・三重大学生物資源学部教授が木材に含まれるリグニンという接着成分を、形を傷めずに取り出す技術を開発。すでに人口木材作りに成功するなど目に見えた効果も出ており期待が高まっている。
北九州エコタウンの環境関連プラントにリグニン分離製造実証プラントが完成した。このプラントは1ヶ月に10tの木粉を処理しリグニン原料を2t取り出せる。リグニンはセルロース(繊維)の間に絡まり接着剤の役割を果たしている植物系素材で、木材に約25~35%の割合で含まれるが、現在は使い道がほとんど無いため大半が焼却処分されている。教授の新技術は木材をフェノール溶液に浸し、フェノールで包む形でリグニンを抽出する。リグフェノールと呼ばれる物質で、これをもとに様々な素材が作れる。最も早く実現しそうな物にリグニンを混ぜて固めた人工木材がある。またプラスチックの代替品や自動車の内装材などにも有効と教授は期待している。作る際に高温高圧が必要ないのでエネルギー消費が少なく、省エネと省資源を両立である。「石油・石炭はリグニンを含む太古の森林資源が変化した産物。長い年月をかけた自然の行いを短時間化すればいい。石油はいずれ枯渇する資源、将来を見込んだ研究を
行うのが大学研究者の務めだろう」と教授は話す。