人よらずマツタケ不作
・読売新聞 2004/7/8
中国産のマツタケが6月頃から入荷し、店頭に並び始める。逆に国産マツタケの生産量は1941年に12222tから、2002年にはその0.4%まで落ちている。そのため輸入品との値段差は実に4~8倍あり、差は広がる一方。結果「贈答用に国産、自分用に輸入物」と使い分ける人までいる。マツタケはやせた土地を好む。昔は松林に薪を取りに人が入り葉を掻いたが、今は人が入らないので土地が富栄養化してしまっている。特製の熊手でマツタケの生える”シロ”を手入れする三上幸夫さん(71)、20年間で収穫高を2倍にした。「山は適度に手を加えたら応えてくれる」と言うその手法は全国に広がりつつある。京都府でも最近の10年間で戦前の1200tから40tにまで減ってしまい、府の準絶滅危惧種に登録し生産農家とともにアカマツ林の復活法を探っている。だが、秋口の温度が高くマツタケが育たない状況に加え、近年の温暖化でマツタケの生息地が西日本から東北の方へ移りつつあるという指摘もある。秋の豊かな季節感をもたらすマツタケの味覚は、人と森の関りを計るバロメーターといえるかもしれない。