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新聞からの木の豆情報

美しい森

・日本経済新聞  2005/12/15
紀伊半島南東部の三重県紀北町に江戸時代の1790年から守られている森林がある。面積は東京ディズニーランドの12倍、約1070ヘクタールもあり、所有者は速水林業代表の速水亨さん(52)と父親の勉さん(86)である。速水林業の森林は、4分の3がヒノキの人工林だが、木が密植されて中が暗い普通の森とは違い、日が深く差し込んで明るく、美しい。木の下には広葉樹が育ち、下草も地面を覆っている。土壌も枯れ葉や草が腐葉土となりふかふかと豊かだ。同町周辺は日本有数の多雨地帯で土地がやせ、密植すると下草がなくなり土壌が露出し流れ出てしまう。森づくりを始めたのは勉さんだ。勉さんは、間伐や枝打ちを増やして森の中を明るくし、広葉樹や下草が育つように工夫した。その結果、流出しない豊かな土壌を形成することができた。速水亨さんは1978年に家業を継ぎ、美しい森づくりに磨きをかけるとともに、土台となる経営基盤の強化にも取り組んだ。最たるものが伐採や搬出の効率化で、日本で最初に海外の搬出システムを導入するなど機械化を勧め、林道を網の目のように張り巡らせた。「コストだけでなく環境への負荷も軽減できた。事業効率化と環境保全は両立するし、美しい森になれば必ず収益が上がる」と速水さんは強調する。速水林業は2000年2月に国際的な森林保護組織の森林管理協議会(FSC)から「環境に配慮した森林経営」の認証を日本で初めて取得、これを契機に各種団体や企業、学校関係者が数多く見学に訪れるようになり、消費者からの直接注文や量販店からの引き合いも増えることになった。速水さんは2004年4月、各分野の専門家とコンサルティング会社森林システム再生システムを立ち上げた。日本の森を美しくするための相談に応じている。速水さんが関心を持つのは大企業が所有している森林で「何も手がつけられていない現状は企業にとっても地域にとっても福。適切に管理し美しい森に変えていけたら」と意欲を語る。

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