富良野自然塾
・読売新聞 2005/11/21
北海道富良野の森で脚本家の倉本聰さん(70)が、ゴルフ場跡地に自然学校「富良野自然塾」を創設した。森を再生しながら、自然の大切さを五感に訴える体験学習を提供するという。敷地内には、46億年の地球の歴史を460mに縮めた「地球の道」や小石や砂、おがくずが敷かれた道を裸足で歩く「裸足の道」、人工物を探し出すゲームでごみ問題を考える「異物の道」などが設置されている。来春のオープンを前に開かれた見学会で倉本さんは「地球の道」を案内した。沿道には自身が解説を書いた石盤が置かれ、高熱、凍結を繰り返す地球にやがて生物が現れ、恐竜時代や氷河期をへて現代に至る。現世人類が登場するのはわずかゴール直前の2cm(20万年前)で、20世紀の100年間は0.01mm。倉本さんは「人間はたったこれだけの時間で、これまで歩いてきた道のりを壊そうとしているんだ」と最後を締めくくった。倉本さんが主催する演劇養成所「富良野塾」の卒業生たちが富良野自然塾の運営にあたり、地元の子供たちや修学旅行生のほか、主婦や会社員などの大人にも利用を呼びかけたいと話す。
倉本聰さんが環境問題を意識し始めたのは20年ほど前。富良野塾では湧き水を利用していたが、ある日突然水が来なくなり、近所の農家の井戸水も枯れてしまったという。原因は土地改良で上流の山の木々が伐採されたため、水脈が損なわれたためであった。倉本さんはこの時に、「いかに日本人は目先のことだけ考えて、環境に疎い」と思ったという。子供のうちから環境への意識を育てる必要と考え、環境教育を授業に組み入れるべきだと文部科学省にも常々言っている。森を育てることは環境問題解決の根本だと考えているとのこと。