木と語らい技磨く
・産経新聞 2005/10/3
「鳥取民芸木工」を作ってきた木工職人福田豊さんの紹介。福田さんは鳥取県倉吉市の工房は大山をのぞみ、樹木が鬱蒼としており、誰に気兼ねなくカンナやノミが打てる環境である。人と会うより材料の栗やケヤキとしゃっべているほうが数倍楽しいという。高校卒業後、故郷を離れたが、木工職人をしていた父に呼び戻され、木工をはじめたそうである。電気スタンドの材は、笠の枠と骨にする「栗」、台にする「けやき」、そして本漆と手漉きの因州和紙であり、どれも中国山地からの贈り物である。木材はねじれ、狂いが起きないように天日で3-5年、長いもので30年も寝かすそうである。また塗装は「拭き漆」技法といい、漆を塗っては拭き、塗っては拭きをくりかえし、しっとりとした木目の美しさを表現している。その他に枠と枠をつなぐときに「かませ」という技法を用いている。これらすべて木の心を理解してこそ「技」として生きてくるものである。