斜陽の山林を宝に
・毎日新聞 2005/8/15
人口わずか約2100人の徳島県上勝町。和食の世界でここの名前を知らない人はいない。というのもお膳の雰囲気や香りを引き立てる「つまもの」で、約7割の生産シェアをもっているからだ。これは周囲から町を閉ざす山林を宝の山に変えた「逆転の発想」である。上勝町は木材とミカンの町として知られていたが、1981年の大寒波でミカンが枯死するなど町勢は衰退した。そののちシイタケ、キウイなどいろいろなことに試行錯誤を繰り返し、1999年に資本金1000万円で第三セクター「いろどり」が発足。平均年齢68歳177人が約330種類のつまものを「彩ブランド」で出荷している。松の葉、桜の花、スダチ、南天など・・・。この事業は、お年寄りに生きがいを与えただけでなく、つまものの材料をさがし歩く時間がながく、足腰などが鍛えられ、医療費の抑制にもつながったとの指摘も地元から聞かれた。