朝露に地蔵を抱き乱れ咲く
・毎日新聞 2005/8/11
京都市上京区にある「西林寺」は、民家の中に埋もれてしまいそうな小さな寺である。ここは木槿地蔵の寺として親しまれている。「木槿」は通常「むくげ」と読むが、寺も、周辺の人も「もくげ」と発音する。寺伝によると、781年に僧都となった慶俊がこの地で、朝露に乱れ咲く木槿の草むらから、地蔵尊を感得し、開山したため、木槿地蔵とよばれるようになったとのこと。境内には15本ほどの木槿があり、珍重されている。寺では「もくげ会」を設立、毎月23日を真言を唱える真言念誦行を催している。ここは、天台宗だが、修験道の寺でもあり、毎年11月23日に護摩をたき、その灰を木槿の肥料としている。まさに木槿とともにある寺である。