唐崎の松
・読売新聞 2005/8/6
滋賀県 唐崎神社の境内に「唐崎の松」という名勝がある。歌川広重の「近江八景の「唐崎夜雨」にも描かれ、松尾芭蕉にも詠まれた松である。いま、この松の維持費を巡って行政と地元の間で揺れている。 ことは、県が今年度より県指定名勝への補助を、財政難を理由に打ち切ったことにある。剪定(せんてい)、防虫対策の費用として2000年より県が年間44万、市より22万、唐崎神社が22万ずつ出している。この補助金を県は打ち切り。また、県の半額の補助金を出すしみだった市の補助の打ち切りになった。 こうした動きに対して、地元住民らが集まり「唐崎の待つを守る会」を結成。自主的な保全作業をすすめた。さらに同団体と管理者の唐崎神社は県に対し、「制限されるだけの名勝指定はいらない。」「指定されたままでは許可なく現状変更ができず不便」と名勝指定の指定返上を県に申し入れた。 しかし、県は「名勝指定は県民の財産を守るためで補助は別。解除は考えていない。維持に必要な補助は臨時で対応することもありうるし、保全のための現状変更は認める方針」としている。