街路樹多難
(神奈川県)
・日本経済新聞 2005/7/7
横浜市内の約1.5キロの沿道にはユリノキを中心に約280本の街路樹が植えられているが、1年半前に強剪定された。日本造園建設業協会の野村技術調査部長は、このような背景に「自治体の財政難がある」と指摘する。管理が必要な街路樹は10年前に比べ2割増し、しかし予算は3割減である。また、競争入札制度の導入も微妙な影を落している。費用は低く抑えられるようになったが、植栽技能に乏しい他業種からの参入が相次ぎ、競争の激化。その結果、手間暇をかけない剪定法が採用されがちになり樹形悪化に拍車をかけている。また、樹木の特性を無視した剪定はどんな影響を及ぼすのか。樹木医で街路樹診断協会の大島さんは、「確実に街路樹の樹勢を弱めてしまう」と指摘する。樹勢が弱まれば、腐朽菌への抵抗力を弱めたり、根の成長に響いたりと、最悪の場合、自らの重みに耐えかねて倒木の恐れがでてくる。