カキ育てるのは森
・毎日新聞 2005/6/29
1989年から宮城県気仙沼湾の漁民たちは、「豊かな海は、森がはぐくむ」という発想から植林活動をしている。今年は、岩手県室根村の矢越山「ひこばえの森」で行われ、全国から約700名集まり、コナラ、ミズナラなど20種500本を植えた。もともとは60年代に気仙沼湾で赤潮プランクトンが異常発生し、カキなどに大きな被害が出たことで、これは、同湾に注ぐ大川の汚れが原因であった。被害を受けた宮城県唐桑町の漁業、畠山さんら70人が「牡蠣の森を慕う会」を結成し、室根山にコナラなど200本を植えたのが始まりである。広葉樹の森から流れ出る養分を含んだ清流が海中の植物プランクトンを育て、それを食べて大きく育つのがカキである。だから海にとって森は大切な恋人というわけである。現在では全国200箇所で同様の植林活動がおこなわれている。