緑の帯 大陸潤す
・毎日新聞 2005/4/29
ケニアの首都ナイロビから北へ車で約2時間のところにあるケニア山(5199メートル)の南側に広がる森林地帯、「セントラル州ミリシュ地区」に住むイングルさんは、周囲の女性たちに呼びかけ、熱心に植林に取り組んでいる。マータイさんの呼びかけでグリーンベルト運動にかかわった1977年から実に28年である。現在ミリシュ地区一帯で199人が14グループに分かれて活動している。活動内容は東アフリカの高原地帯に自生している 広葉樹の種子をあつめるところから始まる。キクユ語で「ムリンガ」「ムイリ」と呼ばれる樹木の種子を採取し、苗床に持ち帰り、発芽後は最低集2回、交替で苗木の世話をする。高さ10数センチに育ったところで植樹する。また、199人の内11人しか男性はいない。男性の理解が難しいようであるが、ミリシュ地区の女性たちは植林に関わるようになって以降、男性に意見をいうようになり、植林は「開発と環境保護」や「男性と女性」といった問題を問い直す契機となっている側面があるようだ