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新聞からの木の豆情報

がんと闘い フジ育てる

・読売新聞  2005/4/22
泉南市信達牧野の元小学校校長、梶本昌弘さん(75)の庭は、毎年幅約6メートル、奥行約30メートルのフジ棚が薄紫色のカーテンで埋め尽くされる。庭は4年前から開放しており、昨年も約1万5000人が訪れた。美しく咲かすには丁寧な肥料やりや、花の芽の間引きなど細かく手入れする必要がある。梶本さんが丹念に育てるうちに評判を呼び、いつしか近畿一円から人が訪ねてくる様になった。ところが、梶本さんは昨年の検診で肺に腫瘍が見つかり、入院することとなった。一時は生きる気力を失いそうになったが、病院のベッドで思い浮かぶことはフジ棚の下で大勢の人が見せる笑顔だったという。そこで梶本さんは抗がん剤の副作用に苦しむ中、主治医に「退院させてほしい」と訴え、フジを公開した。「1本の木が、懸命に枝を伸ばし生きることを喜ぶように花を咲かせる。フジを育てるうちに、私もがんと共に生きていこうと思えるようになった」と梶本さんは語る。不思議なことに病気への怖さが消えるとがんの進行は止まり、現在も付き回の検査通院を続けているが体調は落ち着いているという。フジの花言葉は「あなたを歓迎します」。梶本さんは「今年も多くの笑顔が見たい」と話し、「フジ祭り」を開く。

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