林産地のいま奈良にみる
・朝日新聞 2005/3/27
森林・林業白書によると、杉の立木の価格は1980年がピークで、下がり続け2003年には当時の約5分の1の価格まで落ち込んでいる。現状では、山の木を切れば切るほど、赤字がかさんでしまうのである。このような状況を反映するかのように小学校の教科書から「林業」の記述が消えた。奈良県榛原町など木津川の源流域は、奈良時代に都、寺の造営に使う木材の伐採地であり、天然林だけでは足りず植樹の人工林の発祥地である。ここで生活する子供たちに林業の重要性を知ってもらうために「木津川源流域・森の会」は「森林ハンドブック 木津川源流域の森と木」という福読書を作成。本書では、森林歴史、現状、そして森林が果たす機能を紹介している。近隣の小学校に配布した。また最近では林業が教科書で取り上げられることが増えているが、焦点は森林が果たす環境への役割で、林業はその中で触れられる程度である。榛原町森林組合の三本木組合長は消費者と密着した林業を模索している。しかし、将来の成り行きを厳しく見ている「林業がこれ以上衰退すれば、近い将来、日本の山林は崩壊するだろう。荷阪の集落もいずれ消えてしまう。そのときは村の葬式をしようと思っている」