6800年前のイチョウ木器
・産経新聞 2008/12/11
10日、中国浙江省の初期稲作集落跡地・田螺山遺跡で楽器と思われる約6800年前のイチョウの木器が見つかったと発表された。調査したのは、金沢大学の中村慎一教授らの日中共同研究グループである。当時の農具や船の櫂、弓といった木器の材料の多くはクワ類などであり、イチョウで作った木器としては世界最古ということである。中村教授によると、発見されたのは円筒形の木器の一部で、長さ219ミリで、内側に環状の突起があり、たたいて音を出した楽器とみられており、木製打楽器としても最古級である。高床式建物のそばの水辺から、ほかの木器と一緒に出土したものである。また、イチョウ類は数億年前に世界各地で繁殖したが、中国南方の限られた地域に1種だけが生き残って現生種になっており、「生きた化石」と言われている。北宋時代(約1000年前)からギンナンが食用にされ、当時の文人も「都にはなかったが、好事家が南方から移植した」という意味の詩を詠んでいる。中村教授は「発見は新石器時代の人と植物のかかわりや、植生環境を考える上で貴重なデータ」としている。