島根半島西端の島根県出雲大社町で「黄泉の黒」と名付けられた黒紫色の花を咲かせるツバキが発見された。高さ3.5メートル、幹回り約30センチメートルの古木に10輪咲いていた。山口県萩市で2月24日から開かれる「全国椿サミット」で披露される。同町の郷土史研究家の梶谷実さんが昨年末に出雲大社北の海岸近くのヤブツバキの自生林で発見した。「ブラックバード」と呼ばれる黒系統の花に品種改良されたツバキが人気だが、島根大学生物資源学部の小林伸雄教授は「ツバキは約4千種類もあり、赤系統のアントシアニン(色素)がアルミニウムなどの金属イオンの影響で『ブルーイング現象』という発色現象が知られているものの、自然界で黒紫色の花は珍しい」と話す。小林教授は「自然から授かったもの。きれいな花なので、挿し木などで増やして安くみんなで分け、自生する出雲の情報発信もしてほしい」と語る。「黄泉の穴」の調査に行った帰りに見つけたことから「黄泉の黒」と名付けた梶谷さんは「神秘的な花で感激しました。貴重なツバキを増やしてもらい、出雲のPRになればうれしい」と話す。