広大な社有林を製紙会社や商社がもてあましている。国産材は安い輸入材におされ、なかなか売れず、一方維持費がかさみ、各社対応に苦しんでいる。そこで少しでも活用しようということで、間伐材を使ったバイオ燃料をつくり始めた。たとえば、三井物産は今春から北海道のトマト農家と提携し、栽培用のハウスの室温を20度に保つための大型扇風機の燃料に社有林から出た間伐材で作った木製ぺレットを使用してもらっている。ハウスの燃料費の15パーセントほど減らせるという。間伐は森林維持に欠かせないもの、しかし間伐材は3割ほどしか利用されず、年間800トンほどが放置されている。また、林野庁によると、国内森林の約6割1453万ヘクタールは、企業や個人がもっている。1位の王子製紙は19万ヘクタールを所有し、800人が森林維持に関わり、管理費年間5億円である。王子製紙では、2011年から間伐材を原料にするバイオ燃料製造の実証試験を広島の呉工場で始めた。1日に木材1トンからバイオエタノール300リットルを生産できる国内最大級の設備である。2020年頃には数十万キロリットル規模での商業生産をめざしている。