現存する世界最古の弦楽器の可能性がある木製品が、青森県八戸市にある紀元前1000年頃(縄文時代晩期)の是川中居遺跡から出土したと、28日までに弘前学院大の鈴木克彦講師らの研究で分かった。弥生時代の登呂遺跡などから出土した原始的な琴と似ていることから、鈴木講師は「縄文琴」と命名し「日本の琴の原型ではないか」と語る。長さ約55センチ、幅約5センチ、厚さ約1センチの細長いへら型をしており、上部に四角い突起、下部に直径約1ミリの穴や刻みがある。材質は杉かヒバのようなものである。穴に毛髪や麻などを素材とする弦を数本張り、指や木の枝ではじいて演奏したと考えられるという。1926年以降、是川中居遺跡では同じ形状の木製品が計20本発見され、忍路土場遺跡、松原内湖遺跡、亀ケ岡遺跡でも同様の木製品が発見されてい る。78年に弦楽器説を発表した鈴木講師は、2008年頃から再び研究を再開し、機織り具説に対し、機織りの妨げとなる突起や穴を理由に機織り具ではないと結論づけた。 そして、弘前学院大の笹森英特任教授とともに復元品を作製し、実際に演奏して弦楽器として使えること証明し、今年2月に報告書をまとめた。「シャーマン(呪術師)のような儀礼を取り仕切る人が、占いや祈りの際にはじいたのではないか」と鈴木講師は説明する。小島美子国立歴史民俗博物館名誉教授は、へら形の木製品は日本の琴 のルーツである可能性が高いと語る。