紙パルプ原料の木材チップにするユーカリの木や製材用のマツ類などの植林が盛んな南アフリカのムプマランガ州の植林面積は、約8%の6千平方キロメートルを超える。木材関連企業や環境団体で作る国際組織「森林管理協議会」(FSC、本部ドイツ)からユーカリ林は「持続可能」とお墨付きを受けている。これは地域に利益をもたら す、環境に配慮した健全な森林経営の証であり、紙の価値も高まるという。だが、環境保護団体「ギアスフィア」のフィリップ・オーウェン代表は「どうして持続可能な森林だと言えるのか。そこにすむサルを殺しておいて……」とかみつく。絶滅の危機の恐れのあるチャクマヒヒは、「草原にいたが、植林で環境が変わり森に移った」とオーウェンさんは話す。サルは木の皮を傷つけることもあり、駆除対象である。同州では駆除が合法であり、「2009年に996匹、この10年で約4千匹が殺された」。既存の生態系に影響する外来種の植林に対し、森林経営者らは「天然の森には手をつけていない。植林は何にも利用されていなかった草原だ」というが、オーウェンさんらは「森だけが大切だと思ったら大間違い。草原には約4千種の植物があったのに、ユーカリやマツに追われている」と反論する。FCSに昨夏、「持続可能」の認証を取り消しを求めたが、覆らなかった。紙パルプ用木材チップの7割を輸入に頼っている日本は、その1割以上を南アフリカが占め、同州からの輸入を増やす計画も進んでいる。