京都市右京区の世界遺産である仁和寺にある国名勝「御室桜」のクローン苗木を住友林業筑波研究所などが増殖することに成功し、21日に同寺で第1号苗木の試験植栽が行われた。御室桜の生態を解明するため今後5年間の試験を行う。仁和寺境内に咲くサトザクラの総称である御室桜は、「御室有明」という品種で、樹高が低く、目の高さで花が咲き誇るのが特徴である。古いもので樹齢が360年以上のものもあり、樹勢の衰えが目立ち、保存が課題となっている。本来八重桜である御室有明は住友林業によると、境内の136本のうち一重で咲く株が大半をしめ、株分けによる増殖は成功率が低かった。これまでの土壌調査で地価の粘土層が低木となる原因だといわれているが、謎のままである。5年かけて成長や花の付き方を境内だけでなく日本各地で試験植栽する約150本を比較する。東日本大震災の被災地の小中学校で植えることも検討中という。「元気な苗木で安心した。この地に根づいてきれいな花を咲かせよう、大事に育てたい」と南揚道門跡は話す。