震災で被害を受けた岩手県陸前高田市の高田松原の松で、同県一関市大東町の仏師・石川昇明さんが制作した仏像を3月上旬、同市内の住職18人に寄贈する。通常、仏像にはヒノキやヒバが使われ、松は、堅くて彫りにくく、虫にくわれてスポンジ状になりやすいことから、仏像に適さないとされている。しかし、昨年8月の京都五山送り火で高田松原の松が使われなかったことを残念に思い、陸前高田市内の製材所に保管されていたこの松を譲り受け、自ら放射性物質を測定し、安全性を確認した上で、11月からボランティアで制作を開始した。震災の津波で命を奪われた子供たちの供養のため、約40本の彫刻刀を用い、地蔵菩薩を彫っている。震災1年の3月11日までに、京都市内の職人に頼み、漆を塗り、金箔を施し、住職18人に贈るという。1体につき、台座や職人への依頼費などで25万円ほどかかるため、「活動を理解し、少額でも協力してもらえれば」と石川さんは語り、協力金を募っている。