京都伝統工芸大学校学生ら約30人が昨年8月末から、津波で流された岩手県陸前高田市の国名勝「高田松原」の松を使用して制作していた大日如来坐像が完成した。京都伝統工芸館で展示が始まっており、4月に陸前高田市で展示されたあと、仏像は清水寺に奉納される。高さ約2.75メートル、幅約2メートル、奥行き約1.5メートルもある仏像は、清水寺が所有する国の重要文化財である大日如来坐像の複製品として制作され、「寄せ木造り」の技法を使い、金箔を張って完成させた。制作途中の仏像を、陸前高田市などの被災地のほか、大阪や神戸に持込み、約7千人がノミを入れたという。昨年8月、高田松原の松をめぐって、京都の伝統行事「五山送り火」で、使う計画が二転三転し、放射性物質が検出されて中止になる騒動があり、京都市に批判が集まった。「鎮魂の思いを込めて制作した」と学生は語る。