民家の防風林である「屋久根(いぐね)」と呼ばれる屋敷林に減災効果あると注目が集まっている。住宅2千戸以上が半壊した岩沼市にある敷地に屋久根を備える農家の庵原孝志さんは「屋久根がなかったら被害はもっと大きかったかもしれない」と話す。海岸から3キロメートル離れた自宅で、震災で津波で流木やがれきが押し寄せたが、屋久根のおかげでせき止められたのである。付近のビニールハウスも倒壊を免れた。岩沼市は冬になると冷たい北西風が山間部から吹き下ろすため、防風林として屋久根を植えており、震災で約20ヘクタールが残り、流木やがれきから民家を守ったのである。8月上旬に決定した震災復興計画で同市は「コミュニティ屋久根」の整備をもりこんだ。「昔から防風林や防災に役立ってきたが、津波被害にも効果があることがわかり、先人たちの知恵を生かしたい」と井口経明市長は話している。しかし、仙台平野にたくさんあった屋久根は落ち葉の掃除など手入れが大変だということで減ってきている。屋久根のある農家の男性は「30年ほど前にはあちこち広がっていたが、めっきり減った。ぜひ後世にも残してほしい」と話す。