人跡未踏の地が今なお多く広がる東南アジア諸国の一つボルネオ島。多様な植物が数多く生息するこの地で、植物の分布調査や標本採取を、東京大学と京都大学の研究チームが定期的に行っている。その一方で、森林伐採や研究開発が急速に進んだため、貴重な生態系が失われる前に国際協力で保全の枠組みを確立しなければならないと訴えている。ボルネオ島の中心部は「ハート・オブ・ボルネオ」と呼ばれ、世界各国の研究者らがこの地を訪れている。ハート・オブ・ボルネオの西部は森が深く、未調査地域が多く残されているという。2007年には世界自然保護基金(WWF)などによって国際的にこの地を保全していく事で合意した。日本のチームはこれまでにいくつかの植物を採取し、そのうち腐生植物の「タヌキノショクダイ」の仲間である新種も発見した。永益英敏・京都大学総合博物館準教授は「行くたびに新しい発見がある。貴重な熱帯林を守るためにできる事を考えていきたい」と語った。