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新聞からの木の豆情報

吉野材と個人

・日本経済新聞 2011/8/20

住宅用の高級建材として、奈良県南部・吉野地域のスギやヒノキなどの吉野材は知られている。割安な外国産材の流入や木材住宅の割合が下がるなどの影響から需要が低迷し、吉野材など県産材の供給量は2009年で約15万立方メートルで1980年の4分の1に、国産材に占めるシェアは1%を割込んでいる。木材の製造品出荷額(加工賃などを含む)は80年の1725億円をピークに減少し、08年には466億円まで落ち込んでいる。吉野材は国産材の中でも割高で、低価格志向の消費者から敬遠されているが、木材の利用が進まなければ森林も荒廃する。「市場ニーズに合った商品を開発しなければ」と県の富岡義文農林部長は危機感を募らせている。この状況を打破しようと、新たな用途を開発する動きや主力である建材でも利用拡大につなげるための動きが始まっている。東京の虎ノ門で7月、奈良県が主催する「吉野材を使った暮らしの道具デザインコンペ」が開かれた。15作品が披露され、審査委員長であった雑誌「日経デザイン」の下川一哉編集長は「吉野地方には様々な素材がある。デザインの力で魅力を引き出せれば」と話した。また、かつて吉野地域で酒造用のたるやおけが作られており、これの再開を目指す動きとして、木材関連企業の集まりである「吉野ウッドプロダクト」はおけを試作し、美吉野醸造(吉野町)で日本酒を仕込んだ。同グループは吉野材や手すき和紙を用いた照明器具や料理箱、雑貨などを手がけており、3月には「銘木と銘酒の町フォーラム」というイベントを吉野町で開催したのである。「酒や食をテーマにした取り組みをきっかけに消費者に足を運んでもらい、吉野材を知ってほしい」とメンバーの中神木材の中井章太代表は話す。建材についての活動として、奈良県川上村で00年に川上産吉野材販売促進協同組合(川上さぷり)がある。奈良や大阪などの工務店、建築家らとネットワークづくりを進め、流通経路を極力省いてコストを削減したり、消費者を招いて吉野材の良さをしってもらったりなどし、年50~60棟分の供給ができるようになったのである。「ユーザーとのつながりを大切にしながら市場を開拓したい」と上嶌逸平代表理事は話す。奈良市の南都経済センターの山城満主席研究員は「市場が縮小したのに、吉野の林業は過去の成功体験から対応が遅れた」と指摘し、「再生には新たな用途開発とマーケティングの強化が求められている」と話している。

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