西アフリカのギニアに生息する野生のチンパンジーは、木の上部で枝を折り曲げて寝るためにベッドを作ることが知られている。そして、その行動は求愛活動に利用することがわかった。日本モンキーセンター(愛知県犬山市)の研究員である大橋岳さんが確認し、17日の同市で開かれる日本霊長類学会で発表する。大橋さんは、ギニアのボッソウ地区に生息する野生のチンパンジーの群れ(約20頭)を率いるオスの「フォアフ」(当時22歳)の行動を2002年7月~2003年3月までの135日間追跡調査した。それにより、フォアフが群れからメスを連れ出し、木の上部で細い枝を折り曲げてベッドを作り、体を揺すりながらメスの前で求愛し、交尾を誘ったり、実際にしたりするところを22回確認した。このほかに、別のオスも同じ行動をとることが複数確認された。また、東アフリカのタンザニアのマハレ地区のチンパンジーは、木の葉を唇で破りながら求愛行動を行う。以上のことから、求愛行動には地域性があり、大橋さんは「さらに研究を続け、原因を調べていきたい」と話している。