兵庫県の淡路島には、「アジサイの道」と呼ばれる場所がある。兵庫県淡路市佐野から同市久野々まで島北部を東西に横切る15キロの道。このうち市道部分を除いた約6キロの道には、キレイなアジサイが咲きほこり、ハイキングの愛好者らから親しまれている。この道を整備したのは、登山口近くでタマネギ直売所を営む淡路市の久我守さんである。久我さんは、約20年前から山林の一部を購入したり地権者に了承を得たりしながら、整備を始めた。沿道にはアジサイやツバキを植えた。2004年の台風23号では大きな被害を受けたが、コンクリートで道を補強したりしながら、3年前、再び通行できるようになり、再び群生するアジサイも見られるようになったのである。7月いっぱいが見頃であると話す。久我さんは若い頃、徳島で林業に携わり、暮らしに余裕があれば子孫のために木を植えるという教えを学んだ。「山奥で育った自分にとって、淡路島の山から見渡す海原は別世界に思えた。この景色を、多くの人に見てもらいたかった」。久我さんの思いは、しっかりとアジサイに届いているようである。